2023-08-01から1ヶ月間の記事一覧
霜草蒼々として虫切々 村南村北 行人絶ゆ 独り門前に出でて野田を望めば 月明らかにして 蕎麦 花雪の如し -------- こんな寂しい詩が何故紹介されるのか↓のサイトで説明してくれていた。 中国では親が他界すると喪に服して官職を一旦辞めて故郷に帰るとのこ…
あかねさす 紫野行き 標野行き 野守は見ずや 君が袖振る (20 額田王) 紫草の にほへる妹を 憎くあらば 人妻故に 我れ恋ひめやも (21 大海人皇子) ----- 天智7年(668)5月の薬狩りで、宴席を盛り上げるために 額田王が歌い、大海人皇子が返したという。…
梨花(りか)は淡白にして柳は深青なり 柳絮(りゅうじょ)の飛ぶ時花は城に満つ 惆悵(ちゅうちょう)す東欄(とうらん)一株の雪 人生幾たびの清明をか看得ん -------- 蘇軾の名はかすかに記憶がある4~5人の1人ですね。 北宋の詩人で人生の意味を肯定的…
三輪山を しかも隠すか 雲だにも 心あらなも 隠さふべしや ----- 遷都で飛鳥から山城を経て近江へ向かったようだ。 日頃見慣れた三輪山を離れるが、見納めだと思っていたのでしょう。 何度も振り返って記憶に焼き付けておきたいのに、雲が隠してしまうのでし…
冬こもり 春さり来れば 鳴かざりし 鳥も来鳴きぬ 咲かざりし 花も咲けれど 山を茂み 入りても取らず 草深み 取りても見ず 秋山の 木の葉を見ては 黄葉つをば 取りてぞ偲ふ 青きをば 置きてぞ嘆く そこし怜し 秋山我は ----- 天智天皇が藤原鎌足に春と秋のど…
君に勧(すす)む金屈卮(きんくつし) 満酌(まんしゃく) 辞(じ)するを須(もち)いず 花発(ひら)けば風雨(ふうう)多(おお)し 人生(じんせい) 別離(べつり)足(た)る -------- 井伏鱒二訳を太宰治は酔うとよく口にしていたそうだ。 漢詩は難…
香具山は 畝傍惜(を)しと 耳成と 相争ひき 神代より かくにあるらし いにしへも しかにあれこそ うつせみも 妻を 争ふらしき 巻1-13 中大兄皇子 香具山と 耳成山と あひし時 立ちて見に来(こ)し 印南国原(いなみくにはら) 巻1-14 同上 わたつみの豊旗雲に…
返照 閭巷に入る 憂へ来りて誰と共にか語らむ 古道 人の行くこと少に 秋風 禾黍を動かす -------- 芭蕉や会津八一に影響を与えたという。 小さな村に入る。道は荒れているが、人は少なく、秋風が稲やキビを揺り動かしているという。 「古道」が昔からの道徳…
熱田津に 船乗りせむと 月待てば 潮もかなひぬ 今は漕ぎ出でな ----- 百済救援のために斉明天皇は船団を組んで西に向かった。 松山あたりで停泊し出発する際の歌だという。 額田王は女帝の側に仕えた随一の歌人で、翌年3月に博多に到着するが、その地で天皇…
獨(ひと)り憐(あはれ)む 幽草(いうさう) 澗邊(かんへん)に 生じ, 上に 黄鸝(くゎうり)の 深樹に 鳴く 有るを。 春潮 雨を帶びて 晩來 急に, 野渡(やと) 人 無くして 舟 自ら 橫たふ。 -------- 路傍の花に数秒見入る心も最近は確認しておりま…
籠(こ)もよ み籠(こ)持ち 掘串(ふくし)もよ み掘串(ふくし)持ち この岳(をか)に 菜(な)摘(つ)ます児(こ) 家(いへ)告(の)らせ 名告らさね そらみつ 大和の国は おしなべて われこそ居(を)れ しきなべて われこそ座(いま)せ われこそ…
ふたつなき 道にこの身を 捨小船 波たたばとて 風吹かばとて ----- 1858年、安政の大獄が始まり、月照と入水する前に書かれたのが辞世として残っているという。明治10年西南戦争の19年前のことだった。 私なりの西郷理解はありますが、あまりに規格外のこと…
天津神に 背くもよかり 蕨つみ 飢えにし人の 昔思へば ----- 父母が節約苦労し御家人身分を買い、聖謨は川路となった。 最下級からのスタートだったが抜群の秀才で勘定奉行にもなる。 又、神武天皇陵を推測し後に孝明天皇が確定。 内政においては極めて有能…
嬉やと 再び覚めて 一眠り 浮世の夢は 暁の空 先にゆき 跡に残るも 同じ事 つれて行ぬを 別とぞ思ふ ----- 辞世を遺して正解でした。相続ビジネスでも使ってもらえました。 家康のネームバリューは大きいですね。 ----- オール相続 p100
天地も 人もうらみず ひとすじに 無畏を念じて 安らけく逝く いきにえに 尽くる命は 惜かれど 国に捧げて 残りし身なれば 世の人に のこさばやと思ふ 言の葉は 自他平等に 誠の心 ----- 情報は複数から得なければならないことを再確認。 個人的にはかなり蒋…
草色は 靑靑として 柳色は 黄なり 桃花 歴亂として 李花 香し 東風 爲に愁を 吹き去らず 春日 偏に能く 恨みを惹いて 長し -------- 自然はたとえ絶景であろうとも、私の心の愁いまで吹き去ってくれるわけではない。 慢性的ブルー状態かもしれません。 そう…
矢弾尽き 天地染めて 散るとても 魂環りつつ 皇国護らん 秋待たで 枯れ行く島の 青草は 皇国の春に 甦らなむ 牛島満 大君の 御はたのもとに 死してこそ 人と生まれし 甲斐ぞありけり 太田実 ----- 牛島満陸軍中将の「皇国の春に甦らなむ」 大田實海軍少将の…
新林二月、孤舟還る。 水は清江に満ち、花は山に満つ。 借問す、故園の隠君子、 時々来往して人間に住すかと。 -------- 唐詩選画本の絵が精巧でした。字も立派でありチャチさがなく本物感漂う。 隠君子たる孫さんにちょっと聞く。世俗の空気に触れているの…
国の為 重き努を 果たし得で 矢弾尽き果て 散るぞ悲しき 仇討たで 野辺には朽ちじ 吾は又 七度生れて 矛を執らむぞ 醜草の 島に蔓る 其の時の 皇国の行手 一途に思ふ ----- イーストウッド監督の『硫黄島からの手紙』『父親たちの星条旗』を観る。 海岸沿い…
渭城の朝雨 軽塵を浥す 客舎青青 柳色新たなり 君に勧む更に尽くせ 一杯の酒 西のかた陽関を出ずれば 故人無からん -------- 素晴らしいです。陽関や安西などの地を確認する。 2500㎞離れて長安から旅立つ友人を渭城で見送る習慣があったという。 朝に雨が降…
我ゆくも またこの土地に かへり来ん 国に報ゆる ことの足らねば さらばなり 苔の下にて われ待たん 大和島根に 花薫るとき 散る花も 落つる木の実も 心なき さそうはただに 嵐のみかは 今ははや 心にかかる 雲もなし 心豊かに 西へぞ急ぐ ----- 辞世を遺し…
滕王の高閣 江渚に臨み 佩玉鳴鑾 歌舞罷む 畫棟朝に飛ぶ 南浦の雲 朱簾暮に捲く 西山の雨 閒雲潭影 日に悠悠 物換わり星移る 幾度の秋ぞ 閣中の帝子 今何くにか在る 檻外の長江 空しく自ずから流る -------- 唐の高祖李淵の息子に滕王がいて饗宴が好きで三大…
さつきやみ あやめわかたぬ 浮世の中に なくは私しと ほととぎす ----- 1日で9本も抜歯する。虫歯による痛みは無くなったが、 これが胃腸障害、不眠症、神経衰弱を起こしたという。晩年は大腸ガンだっという。 その慢性的なイライラで、明治10年西南戦争の最…
一たび高城に上れば 萬里愁う 蒹葭楊柳 汀洲に似たり 溪雲初めて起こって 日閣に沈み 山雨來らんと欲して 風樓に滿つ 鳥は綠蕪に下る 秦苑の夕べ 蝉は黄葉に鳴く 漢宮の秋 行人問うこと莫れ 當年の事 故國東來 渭水流る -------- 高城から眺めて故郷を偲ぶ。…
みよや人 嵐の庭の もみぢ葉は いづれ一葉も 散らずやはある 年老いし 親の嘆きは いかならん 身は世のためと 思ひかへても ----- 大河『翔ぶが如く』で西郷の入水を助けたシーンで最初に知る。 黒田長政からの福岡藩だったが、島津家からの養子が藩主となっ…
衣冠を著けざること 半年に近し 水雲深き處 花を抱きて眠る 平生自ら想う 無官の楽しみ 第一人に驕る 六月の天 -------- 各地の知事を務めて38で引退し80過ぎまで幸せに暮らしたそうだ。 当時の寿命が50としたら38というのは早すぎでもないのでしょう。 放蕩…
吉野山 風に乱るる もみじ葉は 我が打つ太刀の 血煙と見よ 吉村寅太郎 君が為め みまかりにきと 世の人に 語りつきてよ 峰の松風 松本奎堂 雲をふみ 岩をさくみし もののふの よろひの袖に 紅葉かつちる 藤本鉄石 ----- 尊王攘夷派の初の武装蜂起だったこと…
黒雲墨を翻して未だ山を遮らず 白雨珠を跳らせて乱れて船に入る 地を巻く風来りて忽ち吹き散るじ 望湖楼下水天の如し -------- 黒雲が墨を翻すという日本では耳慣れない独特の表現が面白い。 黒に対して白い雨とし、船に入る。 地に対して天、風と水も用いら…
今さらに 何をか言わむ 代々を経し 君の恵みに むくふ身なれば 君がため 捨つる命は 惜しからで ただ思はるる 国のゆくすえ ----- 善かれと思って動いていたことが、状況が変わり自決に追い込まれたという。 討幕派にとっては至極当然の処置なのでしょう。 …
己に訝る 枕の冷なるを 復た見る窓戸の明なるを 夜深うして雪の重きを知る 時に聞く折竹の声 -------- 竹が裂ける音で雪が降り積もっていることを知る。 白居易の不遇を見事に表現した詩のようだ。 -------- 美しい日本語を守り育てる 明治書院