詩歌

和歌・辞世を学ぶ

2025-09-01から1ヶ月間の記事一覧

堀利煕

石の上ふりにし世々のあと訪ひて 昔にかへる我が身なりけり ---------- ペリー来航時の海防係で、万延元年(1860)に自刃。プロイセンとの交渉の際、裏交渉を安藤信正に追求され弁明せず自刃したという。和歌そのものをググると定家の父藤原俊成の歌だと冒頭…

ふるさとの 寺山修司

ふるさとの訛りなくせし友といて モカ珈琲はかくまでにがし ----------- 『あしたのジョー』『力石徹のテーマ』の作詞もされていた。訛りが出世に影響ある以上、それぞれの道だった。大学を退学して病気で生活保護を受け、死を意識していたようだ。当然に、…

武田信勝

あだにみよたれもあらしのさくら花 咲き散るほどは春の夜の夢 ---------- 母方の祖母が信長の妹だったという。父の勝頼と継母の北条の方の最期が有名だが、信勝も辞世が遺っていた。しかし大崎五郎として生き残ったという伝承もあるようだ。下リンク先からは…

病人に鯛の見舞や五月雨 子規

----------- 鯛は「祝い」「慶事」で使われる魚で、見舞には場違いのようだ。これは子規が鯛を受け取り、思わず笑ってしまった句なのでしょう。友人による子規が食べられるうちにとの心遣いに、「ありが鯛」と心の中で言ったのでしょう。かなりの駄洒落好き…

中村文荷斎

契りあれば涼しき道に仕え行く のちの世までもきくほととぎす ---------- 柴田勝家と市の介錯をする。娘は勝家の養女となり北条氏の高木胤則に嫁いだという。しかし、小田原征伐後、家の再興を果たせぬまま胤則は他界したという。勝家は暑苦しい猛者のイメー…

寂しさの 柳原白蓮

寂しさのありのすさびに唯ひとり狂乱を舞ふ冷たき部屋に ----------- 伊藤伝右衛門との関係が冷え、家の中で孤立した時の歌という。朝ドラ『花子とアン』で扱われたようだが、見とけばよかったのでしょう。 ----------- ふるさと寺子屋 熊本県公式観光サイト…

白瀬矗

我れ無くも必ず探せ南極の 地中の宝世に出すまで ---------- 11歳の時に「北極」を知り目指すようになったという。僧では無理なので軍に入り、千島最北端の占守島にも上陸。彼個人にとっても越冬生活の訓練だったのでしょう。北極点はアメリカが先に成功した…

椎の舎の主病みたり五月雨 子規

しいのやのあるじやみたりさみだれ ----------- 大きな椎の木があり、陰になっていて鬱陶しいに違いないという。ググると立派だが家にあると鬱陶しいのでしょう。日立の樹と近いのかと思ったが「モンキーポッド」といい違うようだ。 ----------- 81

都々逸坊扇歌 [初代]

都々一も謡いつくして三味線枕 楽にわたしは寝るわいな ---------- 天保の改革で音曲禁止で晩年は不遇だったという。古賀政男の三味線と楽譜の読めない美空ひばりの「都々逸」が見事でした。「都々逸坊扇歌」は落語の名跡として7代目まで襲名されたが、昭和6…

吾なくば 柳原白蓮

吾なくばわが世もあらじ人もあらじまして身を焼く思もあらじ ----------- 波乱の生涯だった。伊藤伝右衛門との関係の中での歌のようだ。 ----------- ふるさと寺子屋 熊本県公式観光サイト 55

山本蝶

頼み無き此世を後に旅衣 あの世の人にあふそ嬉しき ---------- 侠客清水次郎長の妻三代目おちょう。山本蝶は大正5年に病没、享年81という。明治26年に先に旅立った次郎長との再会が楽しみだった。 次郎長は明治元年の咸臨丸事件で旧幕軍の死者の埋葬を行う。…

五月雨の合羽つゝぱる刀かな 子規

----------- 維新前のことを思い出し詠んだようだ。当時は油紙の合羽が安価であったようだ。高級品では羅紗で油を引いていたという。袖の無いマント型なのか、硬めの紙合羽なのか、刀で突っ張っていた。 ----------- 81

貞心尼

くるに似てかへるに似たり沖つ波 たちいは風の吹くにまかせて ---------- 最期を看取ったのが貞心尼ということで良寛の内妻説もあるようだが、下のリンク先をサラッと読んだ限りでは師弟なのでしょう。辞世は、波と人生を重ねて、身を任せるしかないとしてい…

こずかたの 石川啄木

不来方のお城の草に寝ころびて空に吸われし十五の心 ----------- 不来方は盛岡の雅称だった。学校を抜け出し寝ころんでいたという。その時間の思索が貴重だったのでしょう。しかし、学業での後悔もあったが、文学での誇りもあり、両方を込めたのでしょう。 -…

金子孫二郎

いたづらに散る桜ともいひなまし 花の心を人は知らずに ---------- 桜田門外の変の首魁。"いたずらに散る桜"ではなかった。もとより死は承知している以上、誇りに満ちているでしょう。維新後、靖国神社に合祀。「正四位」が贈られたという。大功労者だった。…

五月雨や船路に近き遊女町 几董

----------- 五月雨により物寂し気で一種の哀れがあるとでもいうのだろうと虚子は言う。人々の前に突出させたことにこの句の働きがあるようだ。 ----------- 高井几董 飯田九一文庫の百人 80

清水宗知(月清入道)

世の中に惜しまるる時散りてこそ 花は花なれ人も人なれ ---------- 弟清水宗治と同日、天正10年6月4日自刃。本能寺の変により、13日光秀他界。 1600年関ケ原直前、光秀の娘細川ガラシャは「散りぬべき 時知りてこそ 世の中の 花も花なれ 人も人なれ 」と遺す…

ふるさとの 石川啄木

ふるさとの訛なつかし停車場の人ごみの中にそを聴きにゆく ----------- ふらっと行ったのでしょう。しかし、一度この短歌を記した後は、彼の気性からは何度も繰り返し通ったとは思えないですね。 湿っぽい表現は自分を客観視して笑ってもいるのでしょう。 --…

揚果亭栗毬

閻魔王のおめしは辞儀もなるまいそ したいしたいにはちがまはれば ---------- 浄土宗の僧で狂歌師。(ようかていくりいが、りっきゅう?) 天保・弘化期での活動記録があり「万載狂歌集」「狂歌百人一首」に見られるという。 「閻魔王のお召しは断れない。死…

五月雨の猶も降るべき小雨かな 几董

----------- 晴れそうだがまだ降っていて、しかしまた遠からずざあざあ降ってくるだとうとのこと。「猶も降るべき小雨」の句法が巧みだという。----------- 高井几董 飯田九一文庫の百人 80

正念

来て見てもきてみても皆同じこと ここらでちよつと死んでみようか ---------- 「死んでみようか」が目に入ったが、病没でした。「世の中をあちこち見て歩いたがどこも同じで面白くない」という達観だった。 天文23年(1554)、享年42。浄土宗の念仏僧という。…

友がみな 石川啄木

友がみなわれよりえらく見ゆる日よ花を買い来て妻としたしむ ----------- 初めて花を買った日かもしれません。それでも、友が偉く見えて腐っても仕方ないので、花を買って妻と語らった。短歌のネタにしようと頭に浮かんだからでしょうが、実行し歌う。それで…

山崎則雄

わが国の為を思へば岩鉄を くだかで置かじ大丈夫の魂 ---------- 明治7年1月に起こった事件だったが、武市熊吉の下駄が落ちていたことで三日で犯人9人が捕まる。全員が土佐の元官僚・軍人で下野組だった。その内の一人の辞世。7月9日に刑死。よく辞世が残っ…

五月雨や水に銭ふむ渡し舟 蕪村

----------- 渡し舟の中にも水が溜まって、裸足だったが、水の中の銭を踏んだ。それを虚子は「小さい人事」だが、「五月雨頃の光景がきわめて適切に書かれておる」と好感を表現している。この辺の感覚は分からないですね。お金を踏めば「縁起が悪い」と感じ…

山崎晃嗣

望みつつ心安けし散るもみぢ 理知の命のしるしありけり ---------- 昭和23年9月に東大生が闇金を始め翌年7月に逮捕、11月自殺。サラッと耳にしたことはあったが、今回、リンク先記事を読んでみる。匿名ならともかく東大生を売りにして信用獲得しても、そもそ…

石川啄木

はたらけどはたらけど猶わが生活楽にならざりじっと手を見る ----------- セーフティーネットのない時代、父の件と借金が重なり負のスパイラルから抜け出すのが困難な時代だった。一年若く小学校を首席で卒業したキレ者の彼でさえ、この歌を歌う。豆腐を届け…

太宰治

池水は濁りににごり藤なみの 影もうつらず雨ふりしきる ---------- 昭和23年6月に玉川上水を最期と選ぶ。辞世は伊藤左千夫の歌を拝借しているが、その時の心境のようだ。「影もうつらず」を小説が書けなくなった意と中西進氏は指摘する。太宰の短歌の全てを…

五月雨や滄海を衝く濁水 蕪村

さみだれやあおうみをつくにごりみず ----------- 滄海は、青い海ではなく大海を意味した。スケール感ある絵画的な句であり、俳画的感覚の作品のようだ。 ----------- 80

有島武郎

世の常のわが恋なくばかくばかり おぞましき火に身はや焼くべき ---------- 「刀剣ワールド」で紹介されており何故なのか気になり読む。父が薩摩郷士だったことだけなのでしょう。刀剣とは離れているようだ。しかし、晩年を波乱に生き過激に旅立つ。元々理想…

石川啄木

たわむれに母を背負いて そのあまり軽きに泣きて 三歩あゆまず ----------- 歌集『一握の砂』という。泣きながらでも歩けるとは思うのですが、自分を責める気持ちが強かったのでしょう。 ----------- 短歌の教科書 52

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